共感覚って何?音に色を感じる「色聴」の私が見ている世界
共感覚は、ひとつの刺激に対して通常の感覚以外の感覚を同時に感じる特性のことを指します。
音に色を感じたり、文字や数字に色を感じたり、言葉に味を感じたり、共感覚にはさまざまな種類があるとされています。
いまだに研究段階であり、メカニズムや保有人口の割合などは明らかにされていません。
保有者自身は幼少期から当たり前にある感覚のため、自覚していない人も相当数いるとみなされています。
今回は音に色を感じる共感覚を持っている私が、自分の共感覚に気づくまでの話と見えている世界についてお話していきます。
「共感覚の人ってどんな感じで見えているの?」
「生活していて困ることは?」
「自分はもしかして共感覚かも?」
など気になる方はぜひ最後までご覧ください。
共感覚とは
共感覚はあるひとつの刺激に対して、通常の感覚と同時に異なる種類の感覚を感じる知覚現象のことです。
たとえば音に色を感じたり、文字や数字に色を感じたりといったものがあります。
メカニズムなどは明かされておらず、未だに謎の多い現象のひとつとされています。
共感覚の種類
共感覚の種類は多岐に渡り、これまでに150種類以上が確認されているそうです。
- 音に色を感じる
- 数に色を感じる
- 時間単位に色を感じる
- 言葉に味を感じる
- 音や味に形を感じる など
最も多いのは音に色を感じるもので、「色聴(しきちょう)」と呼ばれています。
同じ共感覚を持っている人同士でも感じる感覚には差があります。
たとえば同じ音を聞いた場合、青に感じる人もいれば緑に感じる人もいます。
共感覚の人が見えている世界は世界でたった一人しか見えない景色なのかもしれませんね。
共感覚は病気なの?
共感覚はときに神経系の病気とみなされることもあるものの、正式な病名はついていません。
共感覚は日常生活を送る上でほとんど支障がなく問題ないとされているためです。
私もそうですが、共感覚を持つ多くの人は共感覚を当たり前の感覚としているため特に不便はありません。
記憶を呼び起こす手助けになることもあるので、どちらかというと共感覚があってよかったと思う場面の方が多いくらいです。
共感覚の私が見える世界
共感覚の概要を知ったところで、ここから私の体験についてお話していきます。
関係あるかわかりませんが、私は左利きのHSP気質(※)です。
また絶対音感ではありませんが、近い感覚はあり3Hzの音高の違いを聞き分けられます。
※Highly Sensitive Personの略で、感受性が高く敏感な気質のこと。
ちなみに、両親ともに共感覚はありません。
共感覚に気づいたのは大人になってから
記憶を辿れば、物心がついたときから音に色を感じていました。
ですが自分の中に当たり前にある感覚を特別なものと認識できるはずもなく、大人になるまで「共感覚」という言葉は知らずに生きてきました。
共感覚を知るきっかけになったのは、2017年11月8日にテレビで放送されたドラマ『相棒season16』の第4話「ケンちゃん」です。
ドラマで共感覚について取り上げられているのを見て、「これって私のこと?」と思いました。
私にとって、音に色を感じるのは至極当然のことでした。
それが周りの人とは違う感覚であること、ましてや大人になるまで気がづかなかったことにとても衝撃を受けたことを覚えています。
音楽を好きになったのは共感覚のおかげ?
私は幼少の頃から音楽が大好きです。
元々音楽好きの家庭で子供の頃からよくコンサートへ行っていたこともあり、次第に音楽に関わる仕事を志すようになりました。
学生の頃はバンドを組んだりドラムを習ったりと音楽に明け暮れ、そのまま音響の専門学校に進学し、音響の仕事に就職。
振り返ってみても、音楽に溢れた人生です。
今思えば、こんなに音楽を好きになったのは共感覚で見える世界が好きだったからという理由もあるかもしれません。
もちろん、中には嫌いな色を感じて好きになれない音楽もあります。
ですが心地よい色を感じる音楽の方が圧倒的に多く、音楽を深く楽しめたからこそ、こんなにハマれたのかなと思っています。
先にも少し触れましたが、私は五感が敏感な気質のHSPでもあります。
音楽を深く深く味わえるのは、HSPと共感覚の両方を兼ね備えているからかもしれません。
実際どんな感じで見えてるの?
同じ共感覚を持っていても、見える景色はそれぞれ違います。
私の場合、色を感じるのは音楽を聴いたときが多く、人の声や環境音で色を感じることはありません。
この「感じる」という表現は絶妙で、実際に色が見えるわけではないのです。
頭の周りにぱーっと色が浮かぶ感覚は確かにあるのですが、実際に目で見ようとすると見えません。
そんな曖昧な感覚が、まさに「色を感じる」という表現に当てはまります。
- 声や環境音では色を感じない
- 音楽を聴いたときに色を感じる
- 感情によって見える色が変わることはない
- 見える色が嫌いだと音楽も好きになれない
絶対的な決まりはないものの、明るい曲は白や黄色や黄緑、しっとりした曲はグレーやくすんだ水色、ネイビーが見えることが多いです。
また1曲1色ではなく、何色か混ざって見えます。
興味深いのは、同じ曲を間隔をあけて聴いても同じ色が見えることです。
嬉しいときに聴いても、悲しいときに聴いても、この曲はこの色。
想像力などではなく本当に見えるものなんだと実感しますね。
あらためて考えると、不思議な現象です。
共感覚が薄れてきているかもしれない
幼少の頃からずっと共にしてきた共感覚ですが、実はここ2年ほどで変化がありました。
というのも、共感覚が薄れてきている気がするのです。
数年前までは曲を聴き始めると目の前に色がぱーっと広がる感覚があったのですが、最近はそこまでの明瞭感はありません。
色を感じることには感じるのですが、ぼんやりするというか薄いというか…。
日によって、音楽を聴いても色を感じないことも増えてきました。
共感覚は生まれたときには全員が持っていて、成長の過程で消滅するものという説もあるそうです。
もしそのような理由で共感覚があるとするなら、大人になると消滅する可能性もありそうですよね。
ともあれ、今までずっとあった感覚がなくなるのは不思議で、寂しささえ感じます。
共感覚に頼って生きているみなさん、もしかしたらその感覚は有限かもしれません…。
おわりに
音に色を感じる「色聴」の共感覚を持っている私の体験談でした。
- 共感覚のメカニズムはまだ明らかになっていない
- 共感覚で最も多いのは音に色を感じる色聴
- 気づかないまま大人になる人も多い
- 私が感じるのは主に音楽を聴いたとき
- 複数色が同時に見えることが多い
- 大人になると消滅するかもしれない
ふと思い立って記事にしてみたのですが、振り返ると本当に不思議な現象ですね。
この記事が共感覚を自覚する手助けや、理解を深める一端になれば幸いです。
それでは、最後までご覧いただきありがとうございました!